2019年4月21日 サンデーモーニング(中編)

2019年4月21日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年4月21日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 消費増税をめぐる萩生田氏の発言について報道された部分
② トランプ米大統領のロシア疑惑について報道された部分
③ ノートルダム大聖堂の火災について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② トランプ米大統領のロシア疑惑について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
トランプ大統領の姿が映し出される。トランプ陣営とロシア政府の共謀はなかったと連呼しており、バー司法長官も司法妨害はなかったと強調したと伝えられる。しかし捜査報告書では、ロシア政府との共謀については立証できず、司法妨害についても証拠不十分と結論付けたが、疑惑を深める具体的事例が明らかになったとアナウンス。
報告書の記載から、モラー特別検察官の捜査開始を伝えられたトランプ大統領が「これで大統領生命は終わりだ」と話しモラー氏を解任するよう司法省に伝えるよう指示していたこと、偽証罪で起訴されたプリン元大統領補佐官への捜査についてやり過ごすよう当時のFBI長官に迫っていたことが明らかになったと伝えられる。
民主党ブルーメンソール議員の記者会見映像に切り替わり、「国家レベルのスキャンダルだ」と述べる映像が流される。 “なぜ大統領生命は終わったと思ったのか”と記者に質問されるトランプ大統領の姿が映し出され、トランプ大統領は「いかれたモラー報告書」とTwitterで怒りを露わにしたとアナウンス。民主党は捜査報告書の全文開示とモラー特別検察官の議会承認を要求していると伝えられ、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
水野真裕美アナ(全文):今回、捜査報告書が認定した新事実ですが、例えば、ホワイトハウスの法律顧問には、モラー特別検察官の解任を指示していましたが、特別顧問はこれに従うことなく辞任しました。他にも、司法長官に対しては、「大統領は何も悪いことはしておらず、捜査はとても不公平だ」と公言するよう要求していましたが、こちらも司法長官は実行せず解任されました。そして、FBI、アメリカ連邦捜査局長官には、ロシア疑惑に関連して辞任していたトランプ氏の元側近プリン大統領補佐官への捜査の中止を要求していましたが、FBI長官はこれを拒否し、トランプ氏に解任されました。このように、いずれもトランプ氏の要求通りには実現していないんですが、民主党はこれらがグレー。疑いが限りなく黒に近いとして、追及を強化し幕引きを許さない姿勢を示しています。

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【コメンテーターの発言】
関口宏氏(全文):ということはですよ。探られると腹が痛むのがこの人であるということでいいですか? 西崎さん。

西崎文子氏(全文):そうだと思いますね。やはりあの、共謀がなかったとすればなぜ、それほどオーバーリアクションをしたのか。法を犯すような形で、それを側近が一生懸命止めてきたわけですよね。ですから、側近がそうやって理性を働かせてくれたおかげでトランプ大統領が実際に一線を越えることが防がれたってことがあるわけですよね。それを、トランプ大統領自身あまりわかっていないというところがあると思いますよね。で、やはり問題は本当にあの、ホワイトハウスがそういう人たち、止めた人たちは別ですけれども、例えば報道官とか、側近の人たちが嘘に嘘を重ねて。今のバー司法長官もそれに近いと思うんですけれども。捜査報告書の内容を、どこまで曲解してトランプを無罪にしていけるかって。そこに焦点が当たっていると。ですので、そういったその、ホワイトハウスの性格が、日の目を浴びてる、さらされてるわけですけれども、そこで、決定打が出ないというのが一番いまのアメリカの停滞を示していると思います。

竹下降一郎氏(全文):さっき国家的スキャンダルって言葉がありましたけど、本当だったらこれ、とんでもないことなんですけど、どっかギリギリのところですり抜けてしまう。あるいは、本当に企業の経営者が部下を首にするのと同じ感覚で、解任をしたりと、本来大統領が、言うべきでない人相手に、言うべきでない発言をしたりと、とんでもないことが起きてるなと思います。ただ、不思議なのは、これだけあってもですね、やっぱり一定の支持率というのがまだ固まったままで、まだトランプさんと反トランプ派の構図がずっとカチッと固まったままなんですね。まあちょっと心配っていうか、おそらく今後こういうズルズルズルズル次の大統領選までこれが持ち越されたときに、ではそのときに、どんな論点を示して、トランプ大統領はこういうところがあるからだめだったっていうことを民主党がきちんと候補者を立てて、きちんとした議論をするっていうことが鍵なんですが、なかなかそれもできていなくて、追及もギリギリのところですり抜けられてしまうとう状況。絶望的な状況になってるなと思いますね。

寺島実郎氏(要約):大統領の思慮の浅さや国家を引っ張っていく道徳心のなさにげんなりするが、政治や行政に関わる人の中には、中国に強く当たってくれるという理由で「トランプも悪くない」と自負する連中が結構多い。日米関係は大事だからこそ、日本人は真の友人として、アメリカを睨む力がなければならない。
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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、西崎氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、西崎氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
西崎氏は今回の報道で、以下のように述べています。

西崎氏(抜粋):(関口氏の「探られると腹が痛むということか?」という発言に)そうだと思いますね。やはりあの、共謀がなかったとすればなぜ、それほどオーバーリアクションをしたのか。(中略)止めた人たちは別ですけれども、例えば報道官とか側近の人たちが嘘に嘘を重ねて。今のバー司法長官もそれに近いと思うんですけれども。捜査報告書の内容を、どこまで曲解してトランプを無罪にしていけるかって。そこに焦点が当たっていると。

要旨をまとめると、
・トランプ大統領はこの疑惑に対してオーバーリアクションをしていたので、探られると都合が悪いに違いない
・バー司法長官をはじめ、報道官や側近が嘘を重ねて捜査報告書の内容を曲解し、トランプを無罪にしようとしている

というものです。

しかしながら、
・あらぬ疑いを掛けられた側が釈明を行うのは極めて自然である。反論そのものを不正の証拠のように取り上げる主張は極めて一方的なもので、事実を公平に伝えているとはとても言えない
・モラー報告書の内容としてもトランプ大統領のロシア共謀疑惑ならびに司法妨害疑惑は完全に晴れており、バー司法長官によって結論が出されている。自身の見解と異なる結論が出たからといって「捜査報告書を曲解してトランプ大統領を無罪にしようとしている」などという根拠のない言説を流布するのは明らかな放送法違反である

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での西崎氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。

竹下氏(抜粋):ただ、不思議なのは、これだけあってもですね、やっぱり一定の支持率というのがまだ固まったままで、まだトランプさんと反トランプ派の構図がずっとカチッと固まったままなんですね。まあちょっと心配っていうか、おそらく今後こういうズルズルズルズル次の大統領選までこれが持ち越されたときに、ではそのときに、どんな論点を示して、トランプ大統領はこういうところがあるからだめだったっていうことを民主党がきちんと候補者を立てて、きちんとした議論をするっていうことが鍵なんですが、なかなかそれもできていなくて、追及もギリギリのところですり抜けられてしまうとう状況。絶望的な状況になってるなと思いますね。

要旨をまとめると、
・これだけのことが起きてもトランプ大統領の支持率は固まっている。このままこの空気を次の選挙に持ち越さないためには、民主党が候補を立ててトランプ大統領の問題点を議論することが必要だが、できていない
・トランプ大統領への追及はギリギリのところですり抜けられてしまう、絶望的な状況だ

というものです。

しかしながら、
・ロシアとの共謀疑惑が晴れた以上トランプ大統領の支持率が下がらないのは当然のことである
・トランプ大統領の支持率が高いことを問題視し、いかにトランプ大統領を倒すべきかという民主党側にのみ立った主張を展開することは明らかに政治的公平性が取れていない
・トランプ大統領の疑惑が晴れたことを「すり抜けた」と表現し、絶望的と形容することは明らかに立場の公平性を欠く発言である
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「トランプ大統領の疑惑は晴れていない」「今回上がった事例が突破口だ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては
「バー司法長官による最終判断がなされた段階で疑惑は晴れた」「トランプ打倒ありきの米国報道に追従すべきではない」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ ノートルダム大聖堂の火災にについて報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

① 消費増税をめぐる萩生田氏の発言について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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